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2024.01.26

高次脳機能障害について

今回は、高次脳機能障害についてご説明します。
高次脳機能障害とは、脳梗塞やくも膜下出血もいった脳血管障害や、事故などによる脳外傷、心肺停止による低酸素脳症などで脳がダメージを受けたことにより、注意力・記憶力・言語・感情のコントロール等がうまく働かなくなる認知機能の障害です。
中途障害のため、以前できていたことがうまくいかなくなり、日常生活または社会生活に支障をきたしますが、外見からは分かりづらく「見えない障害」とも言われます。ご本人も周囲も症状に気づきづらいため、周囲から理解されにくく、ご本人・ご家族は辛い思いを抱えやすいです。

◯代表的な症状
高次脳機能障害にはさまざまな症状があります。ダメージを受けた脳の部位やその大きさによって症状は異なります。
また、1つの症状だけでなく、重複して現れることも多いです。元々の性格や周囲の環境も症状の現れ方に影響します。

・脳疲労(神経疲労・易疲労)
脳の病気やケガの後は頭が疲れやすくなっています。ご本人には自覚がないことが多いです。「やる気がない、怠けている」と誤解されてしまうことがあります。
例)いつも眠い、ぼーっとしている
 動きや反応が遅い
 課題・作業等にミスが増える

・病識の低下
自分を客観視することが難しくなり、自分の障害について認識していない状態です。
例)以前と変わらない、困っていることはないと言う
 症状から考えると難しいことでも、できると言う

・注意障害
必要な情報に適切に意識を向けることが難しい状態です。
例)気が散りやすい・集中力が続かない
 見落とし、聞き漏らし、勘違いが多い
 忘れ物や失くしものが多い、片付けが下手になった

・記憶障害
病気やケガの前に経験したことを思い出す/新しい出来事や約束を覚える/忘れないでいる/必要な時に思い出す等ができない状態です。
例)今日の日付を間違える/忘れている
 突然入った予定、普段とは違う予定を忘れる
 部分的に間違って思い出す

・遂行機能障害
段取りをつけて効率よく作業を進める/計画を立てて行動に移す/計画外や予定外のことに対応する、等が難しくなります。
例)段取りが悪くなり、行き当たりばったりの行動が増える
 優先順位がつけられず、何から手を付けていいかわからない
 時間の見積もりが苦手で、遅刻を繰り返す

・社会的行動障害
脳は、興奮と抑制を適度に調節します。病気やケガ等で脳にダメージを受けると感情や行動がうまくコントロールできなくなることがあります。
①脱抑制
 我慢ができない
 無制限に食べる
 してはいけない行動とわかっていても抑えられない

②感情コントロールの低下
 いつもイライラしている
 ちょっとしたことで腹を立てる
 すぐ怒ったり、笑ったり、感情が爆発してしまう

③発動性の低下
 自分から何もしようとしない
 やる気がでない

④固執
 ひとつのことにこだわって、やり方や考えを変えられない
 いつまでも同じことを言い続ける

⑤対人機能拙劣
 場の雰囲気が読めない
 相手の立場に立つ、相手の気持ちを思いやることが難しい

生活していくポイントとしては
・体を動かして体力をつける
・規則正しい生活
・家事や社会参加がリハビリになる
・自分にあった方法・環境を整える
・困っているときはサポートを求める

できることからひとつづつ、やっていくことが大事です。